70代女性 前歯にインプラントとセラミック治療を行ったケース
今回の症例は70代の女性の前歯にインプラントとセラミック治療を行った症例です。
インプラント治療は若くないとできないと諦めている方はおられませんか?実は、インプラント治療に年齢制限の上限はありません。私自身の臨床経験では最高齢で90歳の方にインプラント治療を行った経験があります。インプラント治療は、顎骨の成長がおさまった20代を過ぎれば健康な方であれば何歳でもインプラント治療は可能です。
今回は、ご年配の方をインプラントとセラミック治療で見た目を改善した症例をご紹介します。
年齢に関係なく、正しく診査診断を行うことで治療を行うことが可能で、審美的にも素晴らしい結果を得ることができます。
ぜひ最後までご覧ください
患者様の情報
- 患者様の基本情報:
- 70代 女性
既往歴 高血圧症(降圧剤にてコントロールされている) - 非喫煙者
- 生活習慣に問題はなく規則正しい生活を送っている
- 初診時の主訴:
- 前歯の被せ物が取れてしまったので治療してほしい
- 歯科医師による診断:
-
- 右上の前歯に装着されていたセラミックの被せ物が、中の土台ごと脱離していました。レントゲンを撮影して確認をしたところ、すでに歯は相当に削合されている状態で、根がかなり短い状態でした。さらに、マイクロスコープ下にて、歯を確認すると破折している状態でした。
当該歯については、再治療による保存は困難であると判断しました。
治療計画と治療内容
治療計画
- 右上の前歯については、保存治療が不可能であると判断し、抜歯が必要であると判断しました。
また、歯の抜歯に伴って歯肉(歯茎)の退縮から生じる隣のセラミックブリッジの審美障害についても配慮が必要であると考えました。
患者様の年齢のことを考えると、今後何度も治療をやりかえることは難しいと考えて、可能な限り再治療の少ない治療が必要になります。
そこで、今回私が考えた治療計画は以下のようになりました。
・被せの取れた歯は抜歯をしてインプラント治療
・隣のセラミックのやり直し
インプラント治療を選択した理由は、ブリッジにすると隣の健康な歯を削らなくてはいけないし、ブリッジの範囲が大きくなり将来トラブルが生じるリスクが高くなり、やり直しも大変になると想像されるからです。隣のセラミックをやり直す目的は、同時に治療することで審美的に美しくすることができるからです。
治療内容
①抜歯
保存治療が不可能と判断した歯の抜歯を行いました。後のインプラント治療のために、可能な限り組織を傷つけないよう丁寧に優しく処置を行います。
②インプラント治療のための診査診断
インプラント治療を審美的に成功させるのに最も重要なことは、顎骨に対して適切な位置にインプラントを埋入することです。
そのためには、CTにて3次元的に骨の状態を確認してインプラント埋入する位置をシミュレーションすることです。
③インプラント埋入手術
ここでは術前のシミュレーション通りにインプラントを手術で埋入できるなくてはなりません。
前歯のインプラントは奥歯と異なり、インプラントの位置関係が最終の仕上がりにシビアに影響します。
1㎜以下の精度でインプラントを埋入する技術力が必要になります。
今回は両隣の歯に1.5ミリの隙間を開けてインプラントを埋入しています。
④骨造成
今回インプラントの周囲の骨が抜歯によって吸収しており、インプラントが顎骨から露出している状態のため骨造成を行っています。骨移植剤には牛由来のものを使用し、患者さんから採血し遠心分離させた血漿成分を移植材に混合しています。
骨造成はその造成料に応じて最終の見栄えにも影響しますので、最終の仕上がりをイメージしながら必要なボリュームになるように骨造成を行いました。
⑤結合組織移植術
セラミックブリッジを行う部分が、歯の無い部分の歯肉(歯茎)が陥凹しているため上顎の結合組織を移植し歯茎の再建治療を行いました。これにより、見た目が良くなるだけでなく、陥凹部への食べ物の停滞するのを抑制することができます。
⑥仮歯の装着
最終的なセラミックの被せ物の形を決めるために仮歯を装着しました。
仮歯の期間中は、お食事や発音など問題なく日常生活を送れるかを確認することと、見た目に問題がないかを確認し必要があれば形の修正を行いま
治療後の状態
治療後の口腔内の状態と治療後のケア、注意事項について
天然歯、インプラントを行った歯、セラミックブリッジ治療は全てが審美的に調和しています。
歯の色や形だけでなく、歯茎の移植手術を行っていますので、歯の無いはずのブリッジ治療の箇所も、あたかも歯が存在するかのような歯茎の形態、ボリュームを再現できています。
通常、ブリッジ治療では歯の無い部分は陥凹するため、見た目の問題だけでなく食べ物などが停滞する原因にもなります。
このような、結果は移植や再建手術をしないと改善できません。
治療後の注意としては、夜間の歯軋りや食いしばりによりセラミックが破折するリスクがあるため就寝時のナイトガードの装着が推奨されます。また、経年的なかみ合わせの変化に伴う、被せ物、インプラントの破折を防止するために定期的にかみ合わせの調整も必要になります。
インプラント治療は、歯周病のような症状のインプラント周囲炎を発症する可能があります。予防のためには、毎日の適切なブラッシングと定期的なメンテナンスが重要となります。
費用について
- 治療にかかった費用の内訳
- インプラント治療 ¥523600(税込)
- 骨造成 ¥88000(税込)
- セラミックブリッジ(3本分) ¥462000(税込)
- ブリッジ仮歯(3本分) ¥23100(税込)
上記の費用は治療当時の価格です。現在の価格と異なる場合がありますご注意ください。自費診療に関しては、現金だけでなくクレジットカードでのお支払いが可能です。
ご希望の方はデンタルローンをご利用いただくこともできます。
【まとめ】
今回の症例は、前歯部のインプラントとセラミックブリッジ治療を行った症例を紹介しました。
特に今回の症例で重要な点は、年齢に配慮しあえて再治療のリスクの少ないインプラント治療を行った点です。もう歳だからインプラントなんてしても仕方が無いと思う方も多いと思います。しかし、年齢的に何度も何度も再治療を行うことが難しいからこそ、再治療の可能性の少ない方法を選択する重要性があると思います。*もちろん、その方法はインプラント治療に限りません。状況によって治療方法は変わります。
インプラント治療に年齢制限の上限はありません。全身疾患などがなく、健康面に問題がなければ治療は可能です。
当院では、安全にインプラント治療を行うための専用のオペ室や、生体モニター、CT、緊急蘇生キットなどを準備しております。
もし、お口のお悩みがあれば岡山市北区にあります金山デンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。
一人一人に合った治療計画をご提案させていただきます。