歯の根に穴が開いており、他院で抜歯と診断されるも精密根管治療にて歯の保存に成功した症例
今回の症例は、以前の根の治療(根管治療)によって、根の部分に穴が開いている状態にも関わらず、マイクロスコープを用いた精密根管治療にてなんとか保存することに成功した症例の紹介です。
通常、根の一部分に穴の開いている(パーフォレーション)状態を治療して歯を保存することはとても難しいとされています。
しかし、近年ではMTAセメントという薬剤の開発によって治療の成功率は格段に向上しております。
今回は、通常では難しいとされている状態で、他院では抜歯と診断された歯をマイクロスコープやラバーダム、MTAセメントを用いて、歯の保存に成功した症例を紹介したいと思います。 今現在、根の病気でお悩みの方の参考にされば幸いです。最後までご覧ください
患者様の情報
- 患者様の基本情報:
20代 女性
既往歴は特になく、喫煙歴もなく健康状態に問題はありません。 - 初診時の主訴:
右下奥歯が痛い。
他の病院で抜歯が必要と言われて、インプラント治療を勧めらた。インプラント治療をしてほしい。
- 歯科医師による診断:
今回の症例では、レントゲンとCTによる診査によって、歯の根の部分に穴が開いている(パーフォレーション)ことがわかりました。
被せ物と歯の隙間から細菌が侵入し、穴の開いている箇所から顎骨へと感染が浸潤し、顎骨に炎症をきたしている状態でした。通常は、抜歯と判断されるような状態でした。抜歯後は、インプラント治療もしくはブリッジ治療が必要となります。患者様の年齢を考慮すれば、可能な限り歯の保存を試みるべきだと考えました
治療計画と治療内容
治療計画
まずは、通常通りの精密根管治療法にて根の内部(根管内)を綺麗にしていきます。根の内部の感染物の除去と洗浄を行なったのちに、MTAセメントを用いて根の穴を封鎖します。根の部分を封鎖した後は、通常通り、根管の先端までMTAセメントを充填します。根管治療終了後は、病巣の縮小傾向が見られまで経過観察を行い、最終的にはジルコニアの被せ物を装着する計画を立てました。
治療の詳細
根の穴の開いている部分(パーフォレーション)へは、肉芽と呼ばれる炎症性組織が増殖、浸潤している状態だったため、そのままではMTAセメントで穴を塞ぐことができない状態でした。そのため、まずは穴の開いている周囲の感染しているエリアを綺麗にして増殖している肉芽組織をマイクロスコープを使用しながら電気メスを用いて除去する作業が必要でした。肉芽組織を除去する際は、肉芽組織だけを取り除く必要があって、その先にある顎骨に電気メスが触れないように細心の注意が必要です。
治療期間
治療回数は3
治療後の状態
レントゲンで病変の縮小傾向が確認でき、その後の経過では完全に病巣が消失していることがわかりました。現在、再発の傾向もなく経過良好です。
費用について
治療にかかった費用
- 精密根管治療 ¥121000
- ジルコニアクラウン ¥71500
治療の費用は、治療を行なった時点での費用となっております。実際の治療費用と異なる可能性がございます。ご了承ください。当院では、自由診療の治療費用についてはクレジットカードがご利用いただけます。また、デンタルローンでのお支払いも可能となっております。
まとめ
今回の症例は根の先端い病気があるだけでなく、パーフォレーションと言って根の一部に穴が開いてる状態でした。通常では、治療の成功率が低いため抜歯と診断されるような重篤な状態です。もし、治療がうまくいっても、病変の再発や歯根破折などにより再治療もしくは抜歯となってしまう可能性が高い状態です。
しかしながら、患者様の年齢を考慮すれば、歯を抜いてインプラントやブリッジ治療を行うよりも、数年であっても天然歯を保存し抜歯の時期を遅らせる方が良いと考えます。なぜなら、インプラントやブリッジ治療もやがては再治療が必要になる可能性があるからです。インプラント治療であれば、再治療には高額な費用が必要です。ブリッジの場合は、被せ物のやりかえだけでなく、最悪な場合、土台の歯を失う可能性もあります。抜歯自体が悪い行為ではありません。どうしても、保存することが困難な場合や、年齢によってはお身体が健康で元気なうちに抜歯をしてインプラント治療などを行うケースもあります。大切なのは、歯だけを見て診断、治療するのではなく、患者様の年齢や生活環境、患者様の希望などを総合的に鑑みて治療を行うことです。
当院では、歯だけを診て短絡的に治療を行うのではなく、患者様1人1人にあった治療法をいつも考えて治療を行なっております。もし、今通っている歯科医院での治療方法に納得いっていない方や、これから治療を受けようと思って悩まれている方はお気軽に岡山市北区にあります金山デンタルクリニックへご相談ください。