歯科コラム

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保険診療と自由(自費)診療について|岡山市北区北長瀬の歯医者|金山デンタルクリニック

保険診療と自由(自費)診療について

保険診療と自由(自費)診療について

よく患者様から『 保険診療と自費診療の違いは何ですか?』というご質問をいただきます。

今回は両者の違いについて少しお話させていただきたいと思います。

保険診療とは国に定められた診療ルールの中で行う治療です。

日本では国民皆保険の制度により、全ての国民が全国どこでも同じような質の治療を受けることができます。
窓口での負担も0〜3割となっており、残りの7~10割が保険給付という形で国の医療費からまかなわれています。
これは日本の誇る医療保険制度によるもので、必要な時に少ない負担額で誰もが平等に医療を受けられる。それが保険診療の最大のメリットです。

その一方で、この保険制度を維持するためには莫大な医療費が必要となり、国庫を圧迫しているという現実もあります。そのため、医療費が過剰に使われることを防ぐために保険診療では診療の手順や治療に使用する材料などが細かく規定されており、処置内容によっては使用する材料や器具のメーカーまで指定されています。

歯科という分野は穴の開いた歯や失くなった歯を人工物で補っていくため、材料学と密接に関わっています。歯科材料は日々新しい物が開発されており、歯科治療のスタンダードはそれと共に変化していきますが、保険診療は最新の治療にすぐ導入してくれるわけではありません。例えば根の治療に関していうと、何十年と変わっていません。
歯科界の常識では古い治療になっていたとしても、保険診療で決められている以上はその範囲内の治療しかできないのです。常に単一的な治療しかできないため個々の歯の状態に即した最善と思われる治療ができない時があります。

また医療機関は治療技術や治療精度に報酬が影響されることなく診療行為を行うことで診療報酬を得ることができます。
技術力によって査定されることはありませんので研修医が診療してもスーパードクターが診療しても処置に対する報酬は同じです。
治療の精度も関係ありませんので、数分で適当にやっても、時間をかけて丁寧に治療を行なっても診療報酬は同じになります。

自由(自費)診療とは、その保険診療のデメリットを補う役割をする治療です。

保険給付による治療ではないため国からの制約を受けずに治療できますので、治療方法、手順、材料、器具など全てにおいて担当医の責任によって選択することが可能になり、患者様ごとに完全オーダーメイドの治療を行うことができます。使用できる材料や術式も症状や患者様の希望に合わせて最善のものを利用できるため、保険診療では残せなかった歯が残せるようになったり、同じ被せ物の治療でも保険診療の場合と比較して、より美しく長持ちさせることが可能になります。また場合によっては治療期間を短くすることも可能です。
矯正治療やインプラント治療など高度医療も基本的には自由診療に区分されます。*注)矯正治療、インプラント治療は条件を満たせば例外的に保険診療として扱うこともできます。
一方、治療の報酬額も医療機関ごとに自由に設定されており、保険給付は適応されないため治療費は患者様が全額負担することになります。
治療の精度も医療機関ごとに変わってしまいますし、担当医の専門分野も各々変わってきますので、病院を選ぶ際には事前にホームページなどで良く調べる必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。少しは皆さまの疑問にお答えできましたでしょうか?
歯科治療では医科の診療に比べて保険診療で行うか、自由診療で行うか選択しないといけない場面が多いと思います。
結論から申しますと、保険診療より自由診療の方が必ず良い結果が得られるとは限りません。
しっかりと担当医から治療の情報を提示してもらい、自分にあった治療を選択することが大切だと思います。
次回は当院における保険診療と自由診療の考え方についてお話ししたいと思います。

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