矯正治療 歯の動き方について
- 2023年4月26日
- 矯正歯科
矯正治療における歯の動き方
矯正治療において矯正力という言葉があります。矯正力とは、正しくない場所に存在する歯を動かすための荷重のことを言います。矯正治療は古くは、紀元前の初め頃には、指の力で歯を動かす試みがされていたそうです。
矯正治療では歯並びや噛み合わせを適正にするために、様々な装置を使って色々な動きを与えていきます。
今回は、歯の移動様式とその難易度についてお話ししようと思います。
矯正における移動の難易度を知ることで、矯正治療の難易度や、矯正治療に必要な期間などがわかるようになります。
これから矯正治療を受けようかと考えておられる方も、事前に知っているとためになるかと思います。
歯の移動様式の種類
・挺出
歯が切端方向(歯茎の中から出てくる方向)へ垂直的に移動する様式
比較的簡単な移動様式で、移動方向に骨がないので短期間で移動が完了します。短期間で移動させる急速挺出と時間かかてゆっくり挺出させる緩徐挺出があります。
・傾斜移動
歯根(歯の根)の中心から1/3程度根の先端部分を支点に歯の頭を回転させて移動する様式
比較的弱い力で移動させることができる移動様式です。近年、人気になってきているマウスピース矯正では主に傾斜移動による矯正を行う装置です。矯正治療では最も一般的な動きとなります。
・回転
回転とは歯が生えている軸を中心に回転させて行う移動様式
歯並びが捻れているような場合に利用する移動様式です。比較的簡単な装置で行うことのできる移動様式だが、後戻り(せっかく矯正したのにまた元に戻ってしまう現象)が生じやすいので注意が必要な移動様式とされています。
後戻りを防ぐためには、矯正を行なったあと半年以上動かした歯を固定する(保定期間)が重要となります。
・歯体移動
歯体移動とは歯の生えている角度はそのままに平行移動させる移動様式
歯を抜いて矯正を行う場合などに、抜いた歯のスペースを閉じる際に行う移動様式です。
平行に歯を動かすのは、矯正治療の中でもコントロールが難しく、比較的難易度の高い移動様式とされています。
特にマウスピース型の矯正装置では苦手な移動様式だとされています。
・トルク(歯根の傾斜)
主に歯根(歯の根)を傾けることで歯の頭の向きを変える移動様式
通常の傾斜移動よりも難易度が難しいとされています。特に下の奥歯ではさらに難しくなります。
ワイヤーに対して適切な曲げを加え、矯正力のコントロールもかなりシビアになります。
・圧下
歯を歯茎の中に押し込む移動様式
圧下に関しては、前歯の圧下の場合、奥歯の圧下の場合、または同時に何本圧下させるのかで難易度は大きく変化します。
最近ではTADsシステムという歯科矯正用のミニインプラントを使用することで圧下を行うこで、圧下を容易に行うことができるようになっています。
移動様式の難易度について
それぞれの移動様式はその状況により単純に難易度を分類することは難しい場合もありますが、一般的な矯正治療学での難易度順についてお答えします。
難易度は易しいものから難しいものの順に発表します。
難度レベル1 挺出
難度レベル2 傾斜移動
難度レベル3 回転
難度レベル4 歯体移動
難度レベル5 トルク(歯根傾斜)
難度レベル6 圧下
これらの難易度のレベルに応じて治療期間も変わってきます。また使用する装置も変わってきますので、矯正治療では術前の診査診断と治療計画がとても大切になってきますます。
場合によっては難しい移動様式をあえて避けるような治療計画を立案することもあります。
また最近、流行しているマウスピース型矯正装置でも、得意な移動様式と苦手な移動様式がありますので、当院ではそのようなことも患者さまにお伝えしています。
まとめ
今回は、矯正治療における歯の移動様式について解説を行いました。一見すると専門的な内容で難しいと思われたかもしれません。しかし、このような基礎的な知識を雑学程度にも知っていただくことでより矯正治療に対して理解を深めていただくことができると思っています。カウンセリングの時にどうして治療期間に何年もかかってしまうのか、なぜこのような装置を使用しないといけないのか、などをしっかりと理解していただくことが矯正治療成功の第一歩だと感じています。矯正治療というのは、患者様と2人3脚で進めないといけない治療で、時には患者様の協力なしには良好な結果が得られないばかりか治療が終了しない場合もあります。
当院では、今後も少し専門的な内容になりますがこのような矯正の知識を皆さまに知っていただくために情報発信していきますのでよろしくお願いいたします。
歯並びのことや、矯正治療でお悩みのかたは岡山市北区北長瀬・問屋町の金山デンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。