痛みの定義
国際疼痛学会(IASP)は2008年に『痛み』とは、『実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である』と定義しました。
この内容を簡単に説明すると、怪我などによる体の傷の痛みだけが痛みの原因ではないということです。
痛みの原因は、色々な可能性があるので診断をする際には注意が必要で、傷ばかりを探していては痛みの原因を見失う可能性があります。色々な診査や検査を行うことで余計に診断が難しくなり泥沼化する可能性もあります。
痛みの種類
痛みには大きく分けて3つに分けられてています。
・侵害受容性疼痛
多くの痛みが侵害性受容性疼痛に分類されます。侵害刺激(何かに傷つけられること)により引き起こされる痛みです。
・神経障害性疼痛
神経の構造上の問題や障害を原因とし引き起こされる痛みです。症状としては、自発痛(何もしていない状態で痛みを感じる)、アロディニア、痛覚過敏がある。アロディニアは、通常では痛みを感じないような刺激で痛みが引き起こされる状態です。痛覚過敏とは、痛みの刺激に対して、いつもよりさらに過敏に痛みを感じる状態です。
・心因性疼痛
体に異常があるのではなく、心理的な原因に由来する痛みです。明らかに身体的な原因がなく、その発症には精神的な問題が大きく関わっているものを言います。
痛みの程度(大きさ)
痛みをの大きさを評価する方法はいくつかあります。言葉で痛みの強さを表現することはなかなか難しいので、痛みの程度を数字で表したり(NRS:ニューメリックレイティングスケール)、痛みの感じ方を顔のイラストで表す(FPS:フェイスペインスケール)もなどがあります。
これらを用いた検査によって患者が訴える痛みの程度と疾患の存在、組織の傷つきの程度には相関関係がないことが知られています。痛みの感じる程度は人によって異なるということが分かっています。
また、痛みの程度はその時の心理状況も大きく影響していると言われています。
例えば、本人が怪我をしたことに気づいていなければ、痛みを感じなかったり、スポーツに集中していると、かなりの衝撃が体に加わっても痛みを感じにくくなるという現象があります。
まとめ
今回は、痛みについて解説しました。内容としては少々難しいものだったかと思います。今回のコラムでお伝えしたいことは、痛みは人それぞれ感じ方が異なるということ。そして痛みを感じたり、感じる痛みの強さはその時の心理状態によって変化するということ。そして痛みの種類には、怪我などによる痛みだけでなく、神経機能に問題があったり、精神的に問題があることで生じる痛みもあるということ。
これらの情報をまとめると、痛みがあるからといって早まって診断をしたり治療をすることはかえって状況が泥沼化する可能性があるということです。大切なことは、しっかりと問診を行うことで、まず痛みの種類を特定し、それを元に痛みの根本的な原因を追求し的確に治療を行うのが大切だということです。
これらのことから、当院ではどのような症状があってもまずはしっかり患者様のお話しを聞くことが治療のはじまりだという考えで診察を行っています。当院は全て完全個室の診療室になっており、診療時間も余裕を持って診察にあたっています。それは、診断のミスを減らすだけでなく、患者様の心理的不安を少しでも解消するために落ち着いた環境で診察を受けて頂けるためです。
痛みでお悩みの方は、岡山市北区北長瀬・問屋町の金山デンタルクリニックへご相談ください