インプラント治療の後のトラブル
・インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎
皆様はインプラントは虫歯にはなりませんが、歯肉炎、歯周病にはなることをご存知でしょうか?
正確に申し上げると、インプラントは歯ではありませんので、インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎と言います。天然の歯と同じで、インプラント周囲の歯茎が腫れたり、重症化すると膿が出たり、インプラント周囲の骨が溶けるなどの症状がでます。天然の歯も、インプラントも自覚症状が無く病気が進行します。
このような病気を発見するには、歯茎の検査とレントゲンを撮影するしか方法はありません。
治療方法はインプラントの周りの汚れをしっかりと取り除き綺麗を保つことになります。病状が進行している場合にはインプラント体の撤去が必要になります。
・インプラント体の破損
インプラント体に不用意な大きな力が持続的に加わった状態だと、インプラント本体に亀裂が生じたり、割れたりすることがあります。多くは、失われた歯の本数に対してインプラントの数が足りていないことや、噛み合わせの調整不足で不用意に強い力が加わっていることが原因です。インプラントの本数を適正にすることや、定期的にしっかり噛み合わせの調整をすることで多くは防ぐことができるトラブルと言えます。
・インプラントの被せ物の破損
インプラント本体はアゴの骨の中に埋められています。そしてそのインプラントと被せ物を小さなスクリュー(ネジ)で固定しています。(インプラントの詳しい構造については別の回で詳しく解説します)
インプラントには常に咬合力(物を噛む力)が加わりますので、長く使用しているとスクリューが折れたり、緩んだりすることがあります。また、被せ物がセラミックなどで作製されている場合は、被せ物自身が割れたりすることがあります。これらも、定期的に被せ物の緩みを確認したり、噛み合わせの調整をすることで未然にトラブルを防ぐことができます。
インプラント治療を長持ちさせるアフターケアの方法
インプラントを長持ちさせる秘訣は、自宅での歯磨きと定期的な歯科受診です。これが最も重要です。
しっかりと歯磨きが出来ていれば、インプラント粘膜炎やインプラント周囲炎になる可能性はかなり低くなります。また正しく歯磨きをするだけでほとんどのインプラント粘膜炎は治癒し、進行したインプラント周囲炎であっても約60%以上のインプラントは治癒するという論文の報告があります。当院ではインプラント治療を行う際に、必ず一度仮歯で生活していただきます。そしてご自宅で正しく歯磨きができるように練習をしてもらい、どうしても難しい場合は、被せ物の形を修正して歯磨きをしやすい形に変更します。そうして、しっかり自宅でのセルフケアが出来ることを確認してから最終的なセラミックの被せ物を装着して治療が終了します。それだけ自宅での歯磨きが重要だと考えています。
そして定期的にメンテナンスに通っていただきます。メンテナンスの時には、自宅でのセルフケア(歯磨き)がちゃんと正しく行えているか、噛み合わせに異常はないか、被せ物が緩んでいないか、インプラントの周りの骨が溶けていないか、などの複数の項目を詳しく調べて異常があれば早急に対応します。
特に問題がなければインプラントの周囲を専用の器具を用いて清掃します。また毎回ではありませんが定期的に被せ物をを外して内部の清掃も行います。
まとめ
せっかく行ったインプラント治療がすぐダメになってしまうことは、患者様だけでなく治療したドクターにとっても本当に残念なことなんです。できれば一生問題なく使ってほしいと思っています。
インプラント治療を受けて久しく歯医者さんに行っていない方は、早急に行かれることをお勧めします。
今回は、インプラントを長く安全に使用するためのアフターケアについて解説しました。
これからインプラントをしようか悩んでいる方や、すでにインプラントをした方にとって少しでも有益な情報になれば幸いです。
もしもっと詳しく知りたい、またはインプラントのことでお悩みのある方はどうぞお気軽にご相談ください。すでに他院さまで受けたインプラント治療のメンテナンスやトラブルにも対応しております。
インプラントのお悩みなら岡山市北区北長瀬・問屋町にあります金山デンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。