GBR(骨造成)とは
GBRというのはGuided bone regenerationという英語の頭文字です。抜歯をすることで、人間の顎の骨は必ず痩せてしまいます。特に歯周病などが原因で歯を抜いた時には大きく骨のボリュームを失うことになります。そうすると必然的にインプラントを埋めれるだけの骨のボリュームが無いためにGBR法という手術が必要になります。GBRとは骨の再生とは異なります。イメージとしては、骨に似たような組織を人工的に再建するような感じです。実際に、できた組織は見た目も本物の骨とは違っていて、顕微鏡で確認すると細胞や血管の数など天然の骨とは異なる組織になります。このような組織を、専門用語で骨様組織と言います。
骨様組織で骨のボリュームを再建することでインプラント治療をすることは可能になります。そして、再建された骨の中に埋められたインプラントは、天然の骨に埋められたインプラントと同様に長期間安定することが多くの論文で立証されています。
GBRの歴史
元々、歯周病によって吸収されてしまった骨を再生するための手術としてGTR法(Guided tissue regeneration)という手術が存在していました。この方法は、吸収されてしまった骨の周りに特殊な膜を設置し、骨と特殊な膜の間に空間を設けることで、その空間に骨が新しく作られる(新生)という画期的な方法でした。この術式を応用して開発された術式がGBR法です。
GBR法の材料
GBR法では骨補填剤とメンブレンという材料を使用します。骨補填剤とは、骨の代わりになる材料で、自家骨(自分の骨)、他家骨(他人の骨)、異種骨(人間以外の骨、主に牛)、人工骨(人工的に作られたもの)と4種類存在します。メンブレンとは骨補填剤の上から覆う膜で、自然に吸収される素材と、吸収しない材質の物があります。これらの材料を、状況に応じて組み合わせ使い分けて使用します。
GBR法のリスク
GBR法を行うと感染などの術後管理が通常のインプラント手術よりシビアになります。
GBRは一般的なインプラントを埋入するだけの手術と異なり、術後の腫脹(腫れ)が大きくなることが多く、術後の傷の治りが悪くなったり、遅延する可能性が高まります。骨補填材やメンブレンは感染に対して抵抗性が弱いという性質があります。もし感染してしまうと、予定通りに骨のボリュームを増やすことが出来ないことがあります。ですから術前と術後の感染に対する管理が非常に重要になります。また歯茎の血流を阻害する喫煙も禁忌です。術後の食事など日常生活も傷口が広がらないよう細心の注意が必要です。
GBR法によって作られた骨は、本質的には完璧な骨ではありません。
GBRで作られた骨は、本物の骨と違い、血管の量が少ないため感染に対する抵抗性が低いことが分かっています。ですので、せっかく作った骨が、インプラント治療後のメンテナンス不足で感染により全て溶けて(吸収)しまうことがあります。このような場合は、リカバリーのために再治療が必要になる場合があります。
治療が終了しても、感染しないように日頃から正しくメンテナンスを行うことが非常に重要になります。
このような理由から、喫煙者やコントロールされていない糖尿病患者さんにGBR法は向いていないとされています。
まとめ
今回、インプラント治療の際に行うGBR法(骨を増やす手術法)について解説させていただきました。次回は術式についても詳しく解説させていただきます。
骨が足りなくてインプラントを諦めていた方も、ぜひ諦めずに骨造成のできる歯科医院で相談されてみてください。骨が足りなくてもインプラントは可能です。しかし、骨のある方のインプラント治療に比較して、手術の難易度は上がりますし、その分リスクもあります。骨造成には、専門的な知識だけでなく、十分な手術経験と設備が必要となります。
当院では、他院で断れてしまったインプラント治療でもご相談を受けております。骨が足りないような場合でも様々な方法で骨を増やすことでインプラント治療を行うことができます。
インプラントに関するお悩みは岡山市北区北長瀬・問屋町の金山デンタルクリニックへお気軽にご相談ください。