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インプラントの骨造成で使用する移植材について|岡山市北区北長瀬の歯医者|金山デンタルクリニック

インプラントの骨造成で使用する移植材について

インプラントの骨造成で使用する移植材について

いつも当院の医療コラムをご覧いただきありがとうございます。
今回は、インプラント治療で行う骨造成術で使用する移植材について解説させて頂こうと思います。
アジア人は、顎の骨が小さく、幅も細いことが多くインプラント治療を行う上で、骨造成術が必要になるケースが多くなります。
移植剤には、いくつか種類があって症例や状況に応じて使い分けて行きます。
移植材を使用する目的や種類についてわかりやすく解説できればと思います。

移植材を使用する目的

骨造成で移植材を使用する目的は、骨を作るためのスペースを作る目的と、骨を作りたい方向に誘導してこれるようにすることです。
移植材には、骨再生能、骨誘導能、骨伝導能という性質があると言われています。
骨再生能とは、移植材の中に骨を再生する細胞が含まれていて骨の再生に直接作用する能力です。骨伝導能とは、骨ができるための足場を提供する能力のことを言います。骨誘導能とは、骨を作る細胞を集めてきて骨の再生を促す能力です。
これらの能力を利用して骨造成を行っていきます。

骨移植剤の種類と特徴

骨造成に使用できる移植材は4種類あります。

・自家骨(じかこつ)

自家骨とは、患者自身の骨のことを指します。通常は、親知らず周囲の骨や、下の前歯の根の先端付近の骨を利用します。
自家骨を使用する際は、ブロック状に採取して使用する場合と、細粒状にして使用する場合があります。
どちらも、骨造成部位とは異なる部位から採取することになります。
自家骨の最大の特徴は、骨再生能、骨誘導能、骨伝導能の全ての能力を持つ唯一の移植材だということです。
しかし、弱点としては、移植された自家骨はその後、吸収してなくなる割合が大きいことです。最大で約60%の自家骨が吸収されて無くなってしまうことが報告されています。
そのため自家骨単体での骨造成では、相当な量の自家骨が必要となり、必要な量の自家骨を採取することが難しいケースが多いとされています。
一般臨床では、自家骨と他の移植材を混合して利用する場合が多いです。

・他家骨(たかこつ)

他家骨とは、他人の骨のことを指します。ドナーの方からの提供で採取された骨のことを指します。
他家骨の特徴は、使用する移植材の量に制限がないことです。骨造成で使用する他家骨は事前に多くのドナーから骨を採取し、特殊な加工を行ってから製品化されています。なので、保管期間も長く、使用する際に、使用量を気にする必要はありません。
他家骨は、骨誘導能と骨伝導能を持っています。
他家骨も自家骨と同様に、移植後に吸収量の多い材料になるため、他の移植材と混合して使用する場合が多いです。

・異種骨(いしゅこつ)

異種骨とは、動物の骨を加工して作られて移植材です。現在、主に使用されるのは牛の骨です。
牛の骨を1000℃を超える温度で焼成し、骨に含まれる有機物がほとんどない状態のものを使用します。
牛の骨ではありますが、狂牛病などの伝染病や、免疫疾患を心配する必要はありません。
異種骨の特徴は、自家骨や他家骨と異なり吸収されにくいことです。異種骨は、骨伝導能を有しています。
異種骨は、術後の吸収も少ないので骨造成の移植材として単体で使用することができます。
また使用量に制限もないため最も扱いやすく、日本国内でも最もよく使われる材料とされています。
弱点としては、骨再生能や骨誘導能が無いこと、吸収しにくい材料のため感染に弱いという点です。また、宗教上、使用できない場合があります。

・人工骨(じんこうこつ)

人工骨とは、人工的に作り出された化学製品のことを指します。
各種メーカで様々な加工や工夫をして製品化されていますが、そのほとんどが人間の骨の構造に似せたようなものと考えられています。
人工骨の特徴は、人工のものなので、使用量に制限もなく、伝染病や免疫疾患の心配も必要ありません。
人工骨は骨伝導能を有しています。
人工骨の弱点としては、他の移植材と比較して、骨造成に他する効果が安定していないことです。
しかし、使用量に制限がない点や、宗教上の問題もないことが最大の利点となります。

当院の移植材の使用について

当院では、基本的には異種骨を使用しています。骨造成量が大きい症例では、自家骨や他家骨を混合してしています。
宗教上の問題や、患者様からの希望があれば、人工骨を使用しています。
骨造成を確実に成功させるためには、異種骨が最も効果的だと考えております。

まとめ

今回は骨造成で使用する移植材について解説をしました。
移植材には、4種類あり、それぞれに特徴があることを知っていただけましたでしょうか。
当院では、4種類全ての移植材が使用可能で、症例に応じて使い分けております。

院長は、歯科医師向けのインプラントセミナーの講師を勤めており、丁寧なカウンセリングと安全で安心なインプラントを提供しております。
インプラント治療のことでお悩みでしたら、岡山市北区辰巳にあります金山デンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。

 

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